母平均の検定

限られた標本から母集団の平均を検定するには、母平均の区間推定同様、母分散が既知のときと、未知のときで分けられます。

 

<母分散が既知のとき>

1.まずは、仮説を立てます。

帰無仮説:”母平均と標本平均には差がない。”

対立仮説:”母平均と標本平均には差がある。”

2.有意水準 α を決め、そのときの正規分布の値 k を正規分布表より得る。

3.標本平均 x~ を計算。

4.検定統計量 T を計算。

⇒ T>k で帰無仮説を棄却し、対立仮説を採用。

 

全国共通試験で、全国平均は60点、標準偏差は10点でした。生徒数100人の進学校の平均点は75点とすると、この学校の学力は、全国平均と比較して、優れているといえるか?有意水準は0.05とする。
まずは仮説を立てます。

帰無仮説:進学校は全国平均と差がない。

対立仮説:進学校は全国平均とは異なる。

検定統計量T = (75-60)/√(102/100)=15

有意水準α=0.05のとき正規分布の値は1.96なので、

(T=15)>1.96

よって、帰無仮説は棄却され、この進学校は有意水準0.05では全国平均と異なる、つまり全国平均より優れていることになる。

 

 

<母分散が未知のとき>

1.まずは、仮説を立てます。

帰無仮説:”母平均と標本平均には差がない。”

対立仮説:”母平均と標本平均には差がある。”

2.有意水準 α を決め、

データ数が多ければ(30以上)そのときの正規分布の値 k を正規分布表より得る。

データ数が少なければ(30以下)そのときの t 分布の値 k を t 分布表より得る。

3.標本平均 x~ 、不偏分散 ux2 を計算。

4.検定統計量 T を計算。

⇒ T>k で帰無仮説を棄却し、対立仮説を採用。

 

全国共通試験で、全国平均は60点でした。生徒数10人の進学クラスの点数は下に示すとおりでした。このクラスの学力は、全国平均と比較して、優れているといえるか?有意水準は0.05とする。

進学クラスの点数:85,70,75,65,60,70,50,60,65,90

まずは仮説を立てます。

帰無仮説:進学校は全国平均と差がない。

対立仮説:進学校は全国平均とは異なる。

標本平均x~=(85+70+75+65+60+70+50+60+65+90)/10

=69

不偏分散ux=(Σxi2 - nx~2 )/(n-1)

={(852+702+752+652+602+702+502+602+652+902)-10×692}/(10-1)

=(48900-47610)/9

=143.3

検定統計量T = (69-60)/√(143.32/100)=0.628

有意水準α=0.05、自由度9のとき t 分布の値は2.262なので、

(T=0.628)<2.262

よって、帰無仮説は棄却されず、この進学校は有意水準0.05では全国平均と異なるとはいえないことになる。

 母平均の検定