ペル方程式 (Pell Equation)

ペル方程式とは次のような方程式のことです。

ペル方程式
x2 - dy2 = ±1

d は平方数ではない自然数。

これは、オイラー(Leonhard Euler 1707-1783)によりペル方程式と名付けられましたが、これはオイラーの勘違いでペル(John Pell 1610-1685)は、この方程式に関して何もしていません。むしろフェルマー(Pierre de Fermat 1601-1665)の方が、この方程式に関して、業績を残しているのでフェルマー方程式とよぶべきかもしれません。しかし、一般的にペル方程式とよばれているので、ここでもペル方程式とよぶことにしましょう。

この方程式には、d によらずトリビアル(trivial:自明)な解、

( x、y ) = (±1、0)

が必ず存在しますが、このトリビアル以外に少なくとも一つの整数解 ( x、y ) を持ちます。

<二次体>

二次体のページで、二次体Q(√d)の整数を定義しました。

定理
a,b∈Z とする。αをQ(√d)の整数とすると、

d ≡ 1 ( mod 4 ) ならば、ω=(1+√d)/2

d ≡ 2 or 3 ( mod 4 ) ならば、ω=√d

として、

α = a + bω

の形をとる。

またこの定義は次のようにも書き換えることができました。

定理
x,y∈ Z とする。αをQ(√d)の整数とすると、

d ≡ 1 ( mod 4 ) ならば、

α=(x+√d・y)/2、x≡y(mod 2)

d ≡ 2 or 3 ( mod 4 ) ならば、

α=x+√d・y

このとき、Q(√d) (d<0)の単数εは

N(ε) = ±1

でした。ここで、

(1) d ≡ 1 ( mod 4 ) ならば、

N(ε) = {(x+√d・y)/2}{(x-√d・y)/2}=±1

(x2-dy2)/4=±1

x2-dy2=±4  …(*1)

(2) d ≡ 2 or 3 ( mod 4 ) ならば、

N(ε) = (x+√d・y)(x-√d・y)=±1

x2-dy2=±1  …(*2)

つまり虚二次体の単数を求めることは、ペル方程式、

x2 - dy2 = ±1 (d<0)

の整数解を求めることと同じと言うことです。二次体において単数は次のようにあらわすことができました。

Q(√d) (d<0)の単数
d = -1 のとき、±1,±i

d = -3 のとき、±1,±(-1+√-3)/2,±(-1-√-3)/2

d ≠ -1,d ≠ -3 のとき、±1

d > 0 のとき、無限に存在する。

 

ペル方程式の解
d ≡ 1 ( mod 4 )ならば、x2-dy2=±4

d ≡ 2 or 3 ( mod 4 ) ならば、x2 - dy2 = ±1

の解を求めるということです。

(この両者をペル方程式といいます。)

続く…

 ペル方程式 (Pell Equation)